金利変動
2022年12月29日
岸博幸/日銀の正しい行動を非難し続けるメディアの情けなさ
探偵ファイルより
探偵ファイルの読者の皆さん、ご無沙汰です!この2ヶ月ほど、体調不良と仕事が忙しすぎて原稿書くのをサボってました。お許しください。
さて、皆様もご承知のとおり、12月20日に日銀がイールドカーブコントロール(YCC)の修正(10年物国債の金利変動幅を0%±0.25%から±0.5%に拡大)を発表したところ、メディアは、これまで10年の金融緩和が失敗であったかのように、かつ円安に追い込まれた末の日銀の政策転換であるかのように、一斉に厳しく非難しました。
私はこれらの報道にすごく違和感を感じています。むしろ、日銀にしては珍しく、非常にうまく金融政策修正の第一歩を踏み出したと評価できるからです。
そもそも12月20日の修正前に明らかであった今年10月の物価上昇率は、総合で3.6%、物価変動幅の大きいエネルギーや生鮮食料品を除いても2.5%と、日銀が目標としていた2%を超えていました。つまり、日銀は2%の物価上昇率という目標を達成しており、金融緩和の修正をしておかしくないタイミングでした。
かつ、来年4月に黒田総裁が交代して日銀OBが新総裁になる可能性が高いので、新総裁の最初の仕事が10年続いた大規模な金融緩和の修正というのは荷が重いことを考えると、黒田体制のうちに金融緩和の修正を始めるというのは理に適っています。
加えて言えば、日銀の金融緩和は量的緩和(国債、ETなどの買い上げ)とYCCで構成されていますが、YCCの金利変動幅を修正すると同時に、国債購入額は増加させています。つまり、日銀は特に追い込まれた訳ではなく、現実を踏まえた微修正を始めただけと評価できるのです。
だからこそ、金利変動の影響が最も出る為替レートを見ても、日銀のサプライズ的な発表後に円ドルレートは7円ほど下落したものの、1ドル130円を切ることはなく、今はもう1ドル132円台で安定しています。日銀はまさしく“うまくやった”のです。
それでは、なぜすべての新聞が日銀を厳しく非難したのでしょうか。特に、他紙が非難しても日銀を擁護する日本経済新聞までもが非難に加わったのでしょうか。
答は簡単で、各紙とも日銀から事前に情報をリークしてもらえず、日経も前日の紙面で“日銀は今回の金融政策決定会合でも現状の金融緩和を維持”と書くなど、予想を完全に外したからです。
今回の日銀の決定の重要性を考えれば事前にリークできないのは当然なのに、予想を完全に外した恨みと怒りで日銀を何らかの形で非難する新聞各紙には呆れるしかありません。読者の皆さんにも、日本の新聞はいかに信用できないかを改めて感じていただければと思います。
ちなみに、日銀は次にどのような行動をするでしょうか。個人的にはYCCのうちマイナス0.1%の短期金利をいつ修正するかだと思っています。
岸 博幸(きし ひろゆき)
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授、RIZIN(格闘技団体)アドバイザー。専門分野は経営戦略、メディア/コンテンツ・ビジネス論、経済政策。元経産官僚、元総務大臣秘書官。元内閣官房参与。趣味はMMA、DT、VOLBEAT、NYK。
探偵に浮気調査,不倫調査,人探し,家出人捜索,行方調査,離婚の相談,結婚調査,信用調査,ストーカー問題,盗聴器・盗撮器の発見調査,その他調査全般,悩み事のご相談は、お気ガルに
探偵ファイルの読者の皆さん、ご無沙汰です!この2ヶ月ほど、体調不良と仕事が忙しすぎて原稿書くのをサボってました。お許しください。
さて、皆様もご承知のとおり、12月20日に日銀がイールドカーブコントロール(YCC)の修正(10年物国債の金利変動幅を0%±0.25%から±0.5%に拡大)を発表したところ、メディアは、これまで10年の金融緩和が失敗であったかのように、かつ円安に追い込まれた末の日銀の政策転換であるかのように、一斉に厳しく非難しました。
私はこれらの報道にすごく違和感を感じています。むしろ、日銀にしては珍しく、非常にうまく金融政策修正の第一歩を踏み出したと評価できるからです。
そもそも12月20日の修正前に明らかであった今年10月の物価上昇率は、総合で3.6%、物価変動幅の大きいエネルギーや生鮮食料品を除いても2.5%と、日銀が目標としていた2%を超えていました。つまり、日銀は2%の物価上昇率という目標を達成しており、金融緩和の修正をしておかしくないタイミングでした。
かつ、来年4月に黒田総裁が交代して日銀OBが新総裁になる可能性が高いので、新総裁の最初の仕事が10年続いた大規模な金融緩和の修正というのは荷が重いことを考えると、黒田体制のうちに金融緩和の修正を始めるというのは理に適っています。
加えて言えば、日銀の金融緩和は量的緩和(国債、ETなどの買い上げ)とYCCで構成されていますが、YCCの金利変動幅を修正すると同時に、国債購入額は増加させています。つまり、日銀は特に追い込まれた訳ではなく、現実を踏まえた微修正を始めただけと評価できるのです。
だからこそ、金利変動の影響が最も出る為替レートを見ても、日銀のサプライズ的な発表後に円ドルレートは7円ほど下落したものの、1ドル130円を切ることはなく、今はもう1ドル132円台で安定しています。日銀はまさしく“うまくやった”のです。
それでは、なぜすべての新聞が日銀を厳しく非難したのでしょうか。特に、他紙が非難しても日銀を擁護する日本経済新聞までもが非難に加わったのでしょうか。
答は簡単で、各紙とも日銀から事前に情報をリークしてもらえず、日経も前日の紙面で“日銀は今回の金融政策決定会合でも現状の金融緩和を維持”と書くなど、予想を完全に外したからです。
今回の日銀の決定の重要性を考えれば事前にリークできないのは当然なのに、予想を完全に外した恨みと怒りで日銀を何らかの形で非難する新聞各紙には呆れるしかありません。読者の皆さんにも、日本の新聞はいかに信用できないかを改めて感じていただければと思います。
ちなみに、日銀は次にどのような行動をするでしょうか。個人的にはYCCのうちマイナス0.1%の短期金利をいつ修正するかだと思っています。
岸 博幸(きし ひろゆき)
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授、RIZIN(格闘技団体)アドバイザー。専門分野は経営戦略、メディア/コンテンツ・ビジネス論、経済政策。元経産官僚、元総務大臣秘書官。元内閣官房参与。趣味はMMA、DT、VOLBEAT、NYK。
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