探偵業の男は、神奈川県逗子市で昨年十一月、デザイナーの三好梨絵さん＝当時（３３）＝が、元交際相手で元教員の男＝当時（４０）＝に刺殺された事件で、元教員に依頼され、三好さんの住所を調べたとみられている。愛知県警は、探偵業の男が、公的機関から不正に三好さんの住所を入手した疑いもあるとみて、経緯などを調べる。

　捜査当局によると、元教員は昨年十一月五日、千葉県内の探偵事務所を通じ、三好さんと夫の氏名を基に住所を特定するよう探偵業の男に依頼。住所は同日中に元教員に伝えられたという。翌日、元教員は逗子市内の三好さん宅を訪れ、三好さんを刺殺。直後に首をつって自殺した。六日で事件から一年になる。

　元教員は二〇一一年六月、三好さんへの脅迫容疑で神奈川県警に逮捕、起訴され、同年九月、執行猶予付きの有罪判決を受けた。

　元教員は保護観察処分中の昨春、三好さんに「別の男と結婚した。契約不履行で慰謝料を払え」などと千通を超えるメールを送信。三好さんは逗子署に相談したが、同署は脅迫やストーカー規制法の「つきまとい」には当たらないとして事件化を見送った。

　神奈川県警が元教員を逮捕する際、三好さんの住所の一部を読み上げ、この情報を手掛かりに詳細な住所が特定されていた。この事件をきっかけに、警察庁は被害者の個人情報に配慮するよう全国の警察に通達。今年六月には法改正され、相手が拒んでいるのにメールを繰り返し送る行為が禁じられた。

　愛知県警による逮捕容疑は、今年春ごろ、千葉県内の女性の親族を装って同県内のガス会社に電話し、不正に世帯主の情報を入手したとされる。愛知県警は六日、東京都内の探偵事務所などを捜索し、裏付けを進める。

　愛知県警は暴力団捜査を担当する県警組織犯罪対策課の警部（４９）の自宅などに脅迫電話がかけられた事件をきっかけに、個人情報の漏えい事件を捜査。その過程で、逗子ストーカー事件に関与した探偵業者が浮上した。