酒類の安売り規制が６月に強化されて、ビール類の店頭価格は１割ほど高くなりました

規制強化の狙いは町の酒屋さんを安売り合戦から守る事ですが、当事者の表情は晴れません
値上げせずに踏ん張った大手スーパーもあります。規制強化の成果は見えない状況ですが、ある業界が売り上げを伸ばしていました

勝負あきらめ
　「値段が２割も違ったら誰も買わない。ビールはあきらめた」。T酒店の店主、Tさんは、とっくにスーパーとの競争から身を引いている。約４０年前に店を構えたが、周辺にスーパーなどが増え、安売り攻勢に太刀打ち出来なくなった。３０年ほど前に店を分割して立ち飲みを強化、店での販売も地酒や焼酎を主軸に変えた。

６月からの安売り規制強化で、仕入れ値に人件費や運送費などを加えた価格より安く売る事は禁じられました。規模の大きなスーパーや量販店による不当廉売を防ぎ、中小酒店を保護するのが主な目的でした。

しかし、国税庁の調査によりますと、酒類販売業者のうち一般的な酒店の割合は平成１２年度に約７割だったのが、２６年度には約３割にまで低下。Tさんは「勝負する土俵はすでに崩れている」と指摘する。

・スーパーは値上げ
市場情報サービス会社が全国のスーパー６７７店の販売動向をまとめたところ、ビール類（発泡酒、第３のビールを含む）の価格は、規制強化前より１割ほど高くなっています。

メーカーは、店が安売りしても利益が維持できる様に販売奨励金（リベート）を支払ってきましたが、規制強化に対応して運用を厳格化。競争は正常化に向かう可能性もある。一方で販売数量は減っており、身を削る価格競争が再燃しかねない。実際、イオンは「グループでの販売量が多い分、物流などのコストが抑えられた」として価格を据え置いている。

・価格差少なく
一方、以前から安売りはしておらず、規制強化後も殆ど価格を変えていない大手コンビニエンスストアはビール類の売り上げが、伸びるか横ばいとなっています。

ファミリーマートの６月の売り上げは前年同月比で１割増加し、特に６本セットは２割増ローソンも５〜６月で前年同期比７％増となったそうです。ファミリーマートは「（値上げした）スーパーなどとの価格差が少なくなり、近くのコンビニで買おうと考えて貰えたのかも」と分析しています。


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