原油や燃料、原材料などの「仕入れ価格上昇」、取引き先からの値下げ圧力などで価格転嫁できなかった「値上げ難」などにより、収益が維持できずに倒産した「物価高倒産」が急増しています

調査開始の2018年1月から、2022年7月までに判明した「物価高倒産」は累計558件です

2022年は1〜7月で116件に達して、過去5年で最多となった2021年（138件）を大幅に上回るペースです

7月は単月で最多の31件判明して、前年同月（17件）を82.4％上回るなど、早ければ8月にも年間最多件数を更新する可能性が高いです

2022年の116件を業種別に見ると、燃料高の影響が大きい「運輸業」（33件）がトップで、全体の約3割を占めました。

以下、木材・資材高の余波を受けた「建設業」（27件）、「卸売業」（18件）の順です。

尚、「物価高倒産」の約8割が、負債5億円未満の中小企業が占めています。

業種詳細別に見てみますと、「運輸業」（33件）がトップとなって、次いで「総合工事」（16件）です。

この他に、小麦や油脂の世界的な価格上昇の影響が大きい「飲食料品製造」（11件）、「飲食料品卸売」（9件）、「飲食料品小売」（6件）が続きました。

英国で著名なチョコレートブランドの日本法人で、物価高や輸送費高騰などが追い打ちとなり法的整理に至った「ホテルショコラ」（東京都、負債51億4000万円、7月28日民事再生法申請）をはじめ、「食品」関連が26件に達しました

燃料、原材料、物流コストの高騰を受けて、中小企業を取り巻く事業環境は悪化の一途をたどっています

物価高による値上げを消費者や事業者は許容しておらず、価格転嫁も最小限に抑える企業が少なくないです。

経済産業省は『物価高における流通業のあり方検討会』を立ち上げて、8月3日に第2回の検討会を開催する等、物価高の影響は現状倒産が目立つ「運輸」「建設」にとどまりません

倒産には至らないまでも、確実に中小・零細企業の体力を奪っていますので、今後は「卸売」や「小売」で「物価高倒産」が更に増加する恐れもあります



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