エネルギー
2022年10月29日
来年の日本経済はどうなる?
読者の皆さん、ご無沙汰しています。BOZZから「そろそろ原稿書け!」と厳命を受け(笑)、実際質問も幾つかいただいていますので、それらも踏まえ、まずは来年の日本経済がどうなるかを考えてみましょう。
私は結論として、今も日本の景気は悪いですが、来年もそれが継続するだろうと予測しています。というのは、現段階でも既に3つのリスクファクターが明確だからです。
一つ目は、米国とヨーロッパが景気後退に陥るリスクです。これだけ短期間で金利を上げまくったのですから、その代償で、当然ながら来年の早い段階で欧米の経済が失速する可能性は十分にあります。中国経済も低成長が続きそうなことを考えると、世界経済全体は冷えた感じになりかねませんので、当然ながら日本経済にも影響します。
二つ目は、円安とエネルギー価格高騰の継続です。まず円安については、日米の金利差がこれだけ拡大し、米国のバイデン大統領が“強いドル”を是認している中では、当分続くと考えた方が良いと思います。
円ドルレートについては、色んなデータを付き合わせると、短期的には155円/ドルくらいまで行っておかしくないと思いますが、政府が150円/ドルを防衛線に介入で頑張っているという感じでしょうか。もちろん、来年になって米国経済のリセッションが明確になると、今度はFRBが利下げを始めるでしょうから、そこで多少円高に戻る可能性はあるにしても、長期的にも円安が続いておかしくないと思っています。
また、エネルギー価格についても、ロシア・ウクライナがいつ停戦するか分からない中、プーチンは天然ガス価格を西側攻撃の材料に使い続けること、米国の世界でのプレゼンス低下に伴って、中近東諸国が米国の言うことを聞かなくなっていることなどを考えると、当面高止まりが続くと考えるべきです。
三つ目は、10/28に公表される政府の経済対策が景気浮揚には力不足だということです。政府の財政出動規模は30兆円くらいになりそうですが、その多くが電気・ガス料金やガソリン価格の抑制に使われ、その期間もそう長くないことを考えると、来年の日本の経済成長率を大きく引き上げるとは考えられません。
以上から、私は個人的に、来年も日本経済は厳しい状況が続くと予想しています。政権が打ち出す経済政策を見ていて、岸田総理が本当に経済を良くしたい、物価上昇率を超える賃上げを実現して庶民の家計を楽にしたい、と真剣に考えているとは思えないからです。
この状況に私たち市民の側がどう対処すべきかについては、長くなるので次回書きたいとおもいます。
探偵ファイルより
岸 博幸(きし ひろゆき)慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授、RIZIN(格闘技団体)アドバイザー。専門分野は経営戦略、メディア/コンテンツ・ビジネス論、経済政策。元経産官僚、元総務大臣秘書官。元内閣官房参与。趣味はMMA、DT、VOLBEAT、NYK。
私は結論として、今も日本の景気は悪いですが、来年もそれが継続するだろうと予測しています。というのは、現段階でも既に3つのリスクファクターが明確だからです。
一つ目は、米国とヨーロッパが景気後退に陥るリスクです。これだけ短期間で金利を上げまくったのですから、その代償で、当然ながら来年の早い段階で欧米の経済が失速する可能性は十分にあります。中国経済も低成長が続きそうなことを考えると、世界経済全体は冷えた感じになりかねませんので、当然ながら日本経済にも影響します。
二つ目は、円安とエネルギー価格高騰の継続です。まず円安については、日米の金利差がこれだけ拡大し、米国のバイデン大統領が“強いドル”を是認している中では、当分続くと考えた方が良いと思います。
円ドルレートについては、色んなデータを付き合わせると、短期的には155円/ドルくらいまで行っておかしくないと思いますが、政府が150円/ドルを防衛線に介入で頑張っているという感じでしょうか。もちろん、来年になって米国経済のリセッションが明確になると、今度はFRBが利下げを始めるでしょうから、そこで多少円高に戻る可能性はあるにしても、長期的にも円安が続いておかしくないと思っています。
また、エネルギー価格についても、ロシア・ウクライナがいつ停戦するか分からない中、プーチンは天然ガス価格を西側攻撃の材料に使い続けること、米国の世界でのプレゼンス低下に伴って、中近東諸国が米国の言うことを聞かなくなっていることなどを考えると、当面高止まりが続くと考えるべきです。
三つ目は、10/28に公表される政府の経済対策が景気浮揚には力不足だということです。政府の財政出動規模は30兆円くらいになりそうですが、その多くが電気・ガス料金やガソリン価格の抑制に使われ、その期間もそう長くないことを考えると、来年の日本の経済成長率を大きく引き上げるとは考えられません。
以上から、私は個人的に、来年も日本経済は厳しい状況が続くと予想しています。政権が打ち出す経済政策を見ていて、岸田総理が本当に経済を良くしたい、物価上昇率を超える賃上げを実現して庶民の家計を楽にしたい、と真剣に考えているとは思えないからです。
この状況に私たち市民の側がどう対処すべきかについては、長くなるので次回書きたいとおもいます。
探偵ファイルより
岸 博幸(きし ひろゆき)慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授、RIZIN(格闘技団体)アドバイザー。専門分野は経営戦略、メディア/コンテンツ・ビジネス論、経済政策。元経産官僚、元総務大臣秘書官。元内閣官房参与。趣味はMMA、DT、VOLBEAT、NYK。