全国で2000棟を超える住宅で施工の不備が発覚した大和ハウス工業

2016年に社員から内部通報があったにもかかわらず、本格調査に着手するまで約1年半掛かるなど、対応の遅れも浮き彫りになりました賃貸アパート大手レオパレス21の施工不良問題に続いて、業界トップクラスの企業が引き起こした不正で、消費者の住宅に対する不信感が高まっています

大和ハウスの発表によりますと、問題があったのは2000〜2013年に顧客へ引き渡した戸建てや賃貸住宅の柱や基礎の部分です。設計担当者が建築基準法など制度への理解が不十分なまま、住宅建設を行った事が原因の様です12日に大阪市内で記者会見した有吉善則常務は「安全第一で工事を進めており、（コスト削減や工期短縮など）合理化目的で行ったものではない」と述べました。

今回の不正を巡って大和ハウスは、2016年12月に社員の内部通報を受けて問題を把握。2017年2月には当時の大野直竹社長にも報告しましたが、調査対象の物件が約22万戸と膨大な為に「すぐに調査をしようとする判断ができなかった」（土田和人専務）そうです。設計や品質部門の社員で構成する専門委員会を設置して本格的な調査に乗り出したのは2018年7月で、その前月には内部通報を行った社員が退職していた。

国内の住宅市場は、少子高齢化などを背景に伸び悩んでいますメーカーにとっても国内での住宅事業は売り上げを伸ばしづらい事業となりつつあります。そうした中、大和ハウスはインターネット通販向けの物流施設の建設や、海外事業が堅調で業績は好調です2019年3月期の連結業績は売上高、最終（当期）利益ともに過去最高を見込んでいます

業績が拡大する一方で、大和ハウスを巡ってはここ数年、不祥事も目に付きます2014〜2015年にかけて戸建て住宅向けの防火シャッターや防火ドアなどで、国土交通省が定める基準に適合しない不正が発覚今年3月には中国の関連会社で社員による巨額の資金の不正流用問題も起きました。ある銀行幹部は「一連の不正の背景には企業の成長スピードが速すぎた事がある」と指摘しています。信頼回復が急務となりますが、土田専務は「ガバナンス（企業統治）がしっかり機能していなかった。品質管理体制を強化する」と述べられました。



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